適用先 SUSE Linux Enterprise Desktop 12

24 NFS共有ファイルシステム

ネットワーク上でファイルシステムを分散して共有することは、企業環境では一般的なタスクです。十分に実績のあるネットワークファイルシステム (NFS)は、NIS (Yellow Pagesプロトコル)と連携して機能します。LDAPと連携して機能し、Kerberosも使用できるより安全なプロトコルについては、NFSv4をチェックしてください。pNFSとの組み合わせで、パフォーマンスのボトルネックをなくすことができます。

NFSをNISと連携して使用すると、ネットワークをユーザに対して透過的にすることができます。NFSでは、ネットワーク経由で任意のファイルシステムを分散できます。適切なセットアップを行えば、現在どの端末を使用しているかに係わりなく、常に同じ環境で作業できます。

24.1 用語集

以下の用語は、YaSTモジュールで使用されています。

エクスポート

NFSサーバによってエクスポートされ、クライアントがシステムに統合できるディレクトリ。

NFSクライアント

NFSクライアントは、ネットワークファイルシステムプロトコルを介してNFSサーバからのNFSサービスを使用するシステムです。TCP/IPプロトコルはLinuxカーネルにすでに統合されており、追加ソフトウェアをインストールする必要はありません。

NFSサーバ

NFSサーバは、NFSサービスをクライアントに提供します。nfsd(ワーカー)、idmapd (IDへのユーザおよびグループ名のマッピングと、その逆のマッピング)、statd(ファイルのロック)、およびmountd (マウント要求)。

NFSv3

NFSv3はバージョン3の実装で、クライアント認証をサポートする古いステートレスなNFSです。

NFSv4

NFSv4は、Kerberosによるセキュアなユーザ認証をサポートする新しいバージョン4の実装です。NFSv4で必要なポートは1つのみであるため、NFSv3よりもファイアウォール環境に適しています。

プロトコルはhttp://tools.ietf.org/html/rfc3530で指定されています。

pNFS

パラレル NFS。NFSv4のプロトコル拡張。 任意のpNFSクライアントは、NFSサーバ上のデータに直接アクセスできます。

24.2 NFSサーバのインストール

NFSサーバのインストールと設定については、SUSE Linux Enterprise Serverのドキュメントを参照してください。

24.3 クライアントの設定

ホストをNFSクライアントとして設定する場合、他のソフトウェアをインストールする必要はありません。必要なすべてのパッケージは、デフォルトでインストールされます。

24.3.1 YaSTによるファイルシステムのインポート

認証されたユーザは、YaST NFSクライアントモジュールを使用して、NFSディレクトリをNFSサーバからローカルファイルツリーにマウントできます。次の手順に従います。

手順 24.1 NFSディレクトリのインポート
  1. YaST NFSクライアントモジュールを起動します。

  2. NFS共有タブで追加をクリックします。NFSサーバのホスト名、インポートするディレクトリ、およびこのディレクトリをローカルでマウントするマウントポイントを入力します。

  3. NFSv4を使用する場合は、NFS設定タブでNFSv4を有効にするを選択します。また、NFSv4ドメイン名に、NFSv4サーバが使用する値と同じ値が入力されている必要があります。デフォルトドメインは、localdomainです。

  4. NFSでKerberos認証を使用するには、GSSセキュリティを有効にする必要があります。GSSセキュリティを有効にするを選択します。

  5. ファイアウォールを使用しており、リモートコンピュータのサービスにアクセスを許可する場合は、NFS設定タブでファイアウォールでポートを開くをオンにします。チェックボックスの下には、ファイアウォールのステータスが表示されます。

  6. OKをクリックして変更内容を保存します。

設定は/etc/fstabに書かれ、指定されたファイルシステムがマウントされます。後でYaST設定クライアントを起動した時に、このファイルから既存の設定が取得されます。

24.3.2 ファイルシステムの手動インポート

NFSサーバからファイルシステムを手動でインポートするには、RPCポートマッパーが実行していることが前提条件です。RPCポートマッパーを適切に起動するのはnfs.serviceです。そのため、rootとして「systemctl start nfs.service」を入力し、RPCポートマッパーを起動します。次に、mountを使用して、ローカルパーティションと同様に、リモートファイルシステムをファイルシステムにマウントできます。

mount host:remote-pathlocal-path

たとえば、nfs.example.comマシンからユーザディレクトリをインポートするには、次の構文を使用します。

mount nfs.example.com:/home /home

24.3.2.1 自動マウントサービスの使用

autofsデーモンを使用して、リモートファイルシステムを自動的にマウントすることができます。/etc/auto.masterファイルに次のエントリを追加します。

/nfsmounts /etc/auto.nfs

これで、/nfsmountsディレクトリがクライアント上のすべてのNFSマウントのルートディレクトリの役割を果たすようになります(auto.nfsファイルが正しく設定されている場合)。ここでは、auto.nfsという名前を使用しましたが、任意の名前を選択することができます。auto.nfsで、次のようにしてすべてのNFSマウントのエントリを追加します。

localdata -fstype=nfs server1:/data
nfs4mount -fstype=nfs4 server2:/

rootとしてsystemctl start autofs.service を実行して設定を有効にします。 この例で、server1/dataディレクトリの/nfsmounts/localdataはNFSでマウントされ、server2/nfsmounts/nfs4mountはNFSv4でマウントされます。

autofsの実行中に/etc/auto.masterファイルを編集した場合、変更を反映するには、systemctl restart autofs.serviceで自動マウント機能を再起動する必要があります。

24.3.2.2 /etc/fstabの手動編集

/etc/fstab内の典型的なNFSv3マウントエントリは、次のようになります:

nfs.example.com:/data /local/path nfs rw,noauto 0 0

NFSv4マウントの場合は、3番目の列でnfsの代わりにnfs4を使用します。

nfs.example.com:/data /local/pathv4 nfs4 rw,noauto 0 0

noautoオプションを使用すると、起動時にファイルシステムが自動マウントされません。対応するファイルシステムを手動でマウントする場合は、マウントポイントのみを指定してmountコマンドを短くできます。

mount /local/path
注記
注記

ただし、noautoオプションを入力しないと、起動時に、システムのinitスクリプトによって、それらのファイルシステムがマウントされます。

24.3.3 パラレルNFS(pNFS)

NFSは、1980年代に開発された、もっとも古いプロトコルの1つです。そのため、小さなファイルを共有したい場合は、通常、NFSで十分です。しかし、大きなファイルを送信したい場合や多数のクライアントがデータにアクセスしたい場合は、NFSサーバがボトルネックとなり、システムのパフォーマンスに重大な影響を及ぼします。これは、ファイルのサイズが急速に大きくなっているのに対し、Ethernetの相対速度が追い付いていないためです。

通常のNFSサーバにファイルを要求すると、サーバはファイルのメタデータを検索し、すべてのデータを収集して、ネットワークを介してクライアントに送信します。しかし、ファイルが小さくても大きくてもパフォーマンスのボトルネックが問題になります。

  • 小さいファイルでは、メタデータの収集に時間がかかる.

  • 大きいファイルでは、サーバからクライアントへのデータ送信に時間がかかる

pNFS(パラレルNFS)は、ファイルシステムメタデータをデータの場所から分離することによって、この制限を克服します。このため、pNFSには2種類のサーバが必要です。

  • データ以外のすべてのトラフィックを扱う「メタデータ」または「制御サーバ」

  • データを保持する1つ以上の「ストレージサーバ」

メタデータサーバとストレージサーバによって、単一の論理NFSサーバが構成されます。クライアントが読み込みまたは書き出しを行う場合、メタデータサーバがNFSv4クライアントに対して、ファイルのチャンクにアクセスするにはどのストレージサーバを使用すればよいかを指示します。クライアントはサーバのデータに直接アクセスできます。

SUSE Linux Enterpriseはクライアント側でのみpNFSをサポートします。

24.3.3.1 YaSTを使用したpNFSクライアントの設定

手順24.1「NFSディレクトリのインポート」に従って進めます。ただし、pNFS (v4.1)チェックボックスをクリックし、オプションでNFSv4共有をクリックします。YaSTが必要な手順をすべて実行し、必要なすべてのオプションを/etc/exportsファイルに書き込みます。

24.3.3.2 pNFSクライアントの手動設定

24.3.2項 「ファイルシステムの手動インポート」を参照して開始します。ほとんどの設定はNFSv4サーバによって行われます。pNFSを使用する場合に異なるのは、minorversionオプションおよびメタデータサーバMDS_SERVERmountコマンドに追加することだけです。

mount -t nfs4 -o minorversion=1 MDS_SERVER MOUNTPOINT

デバッグを支援するために、/procファイルシステムの値を変更します。

echo 32767 > /proc/sys/sunrpc/nfsd_debug
echo 32767 > /proc/sys/sunrpc/nfs_debug

24.4 詳細情報

NFSサーバとクライアントの設定情報は、exportsnfs、およびmountのマニュアルページのほか、/usr/share/doc/packages/nfsidmap/READMEからも入手できます。オンラインドキュメンテーションについては、次のWebサイトを参照してください。

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