適用先 SUSE Linux Enterprise High Availability Extension 12

D クラスタアップグレードとソフトウェアパッケージの更新

この章では、次の2つの異なるシナリオ(SUSE Linux Enterprise High Availability Extensionの別バージョン(メジャーリリースまたはサービスパック)へのクラスタアップグレード、およびクラスタノード上の各パッケージの更新)について説明します。

D.1 用語集

次に、この章で使用される最も重要な用語の定義を示します。

メジャーリリース, 一般出荷(GA)バージョン

SUSE Linux Enterprise (または任意のソフトウェア製品)のメジャーリリースとは、新しい機能やツールを導入する、非推奨になっていたコンポーネントを削除する、後方互換性のない変更が存在する、などの特徴を持った新バージョンです。

サービスパック(SP)

複数のパッチを組み合わせて、インストールまたは展開しやすい形式にします。サービスパックには番号が付けられ、通常、プログラムのセキュリティ修正、更新、アップグレード、または拡張機能が含まれます。

アップデート

パッケージの新しいマイナーバージョンのインストール。

アップグレード

パッケージまたは配布の新しい主要バージョンのインストール。これにより新機能がもたらされます。

D.2 最新の製品バージョンへのクラスタアップグレード

サポートされるアップグレードパスおよびアップグレードの実行方法は、クラスタが実行されている現在の製品バージョンおよび移行したいターゲットバージョンによって異なります。アップグレードに関する一般的な情報については、『SUSE Linux Enterprise Server 12  導入ガイド』の「SUSE Linux Enterpriseのアップデート」の章を参照してください。http://www.suse.com/documentation/で入手できます。

D.2.1 SLE HA 11 SP3からSLE HA 12へのアップグレード

SUSE Linux Enterprise High Availability Extension 12へ正常にアップグレードするには、ご使用のクラスタで最新バージョンのSUSE Linux Enterprise ServerおよびSUSE Linux Enterprise High Availability Extension (11 SP3)を実行している必要があります。ご使用のクラスタがそれより古い製品バージョンに基づいている場合は、まず、SUSE Linux Enterprise ServerおよびSUSE Linux Enterprise High Availability Extension 11 SP3にアップグレードしてください。アップグレードの詳細については、『SUSE Linux Enterprise High Availability Extension 11 管理ガイド』の「最新製品バージョンへのクラスタアップグレード」の章を参照してください。http://www.suse.com/documentation/で入手できます。

High Availability Extension 12の各コンポーネント(/etc/corosync/corosync.conf、OCFS2のディスクフォーマットなど)は大きく変更されているため、このシナリオではrolling upgradeの実行がサポートされていません。手順D.1「SLE HA 12へのクラスタアップグレード」で説明されているように、すべてのクラスタノードをオフラインにしてから、クラスタを全体として移行する必要があります。SUSE Linux Enterprise High Availability Extension 11/SUSE Linux Enterprise High Availability Extension 12で実行する混合クラスタはサポートされていません。

手順 D.1 SLE HA 12へのクラスタアップグレード
重要
重要: アップグレード前に必要な準備
  • システムバックアップが最新で、復元可能かどうかを確認します。

  • 運用環境で実行する前に、まず、クラスタセットアップのステージングインスタンスでアップグレード手順をテストします。

    これにより、メンテナンス期間に要するタイムフレームを予測できます。発生する可能性のある予期しない問題を検出し、解決するのにも役立ちます。

クラスタノードごとに次の手順を実行します。

  1. 各クラスタノードにログインし、次のコマンドを使用してクラスタスタックを停止します。

    root #  rcopenais stop
  2. クラスタノードごとに、SUSE Linux Enterprise Server 11 SP3からSUSE Linux Enterprise Server 12、およびSUSE Linux Enterprise High Availability Extension 11 SP3からSUSE Linux Enterprise High Availability Extension 12へのアップグレードを実行します。Geo Clusteringを使用する場合は、『Geo Clustering for SUSE Linux Enterprise High Availability Extensionクイックスタート』で説明されている各アドオンをインストールします。お使いの製品のアップグレード方法の詳細については、『SUSE Linux Enterprise Server 12 導入ガイド』の「SUSE Linux Enterpriseのアップグレード」の章を参照してください。http://www.suse.com/documentation/で入手できます。

  3. アップグレードプロセスが完了した後で、SUSE Linux Enterprise ServerおよびSUSE Linux Enterprise High Availability Extensionのバージョン12がインストールされた各ノードを再起動します。

  4. クラスタセットアップでOCFS2を使用する場合は、次のコマンドを実行して、オンデバイス構造をアップデートします。

    root #  tunefs.ocfs2 --update-cluster-stack PATH_TO_DEVICE

    SUSE Linux Enterprise High Availability Extension 12に付属しているアップデートされたOCFS2バージョンで必要とされるディスクに、パラメータが追加されます。

  5. Corosyncバージョン2の/etc/corosync/corosync.confをアップデートするには:

    1. 1つのノードにログインして、YaSTクラスタモジュールを起動します。

    2. 通信チャネルカテゴリに切り替えて、新しいパラメータ(クラスタ名および予想票数)の値を入力します。詳細については、手順3.5「最初の通信チャネルの定義」を参照してください。

      Corosyncバージョン2で無効になっていたり、見つからない他のオプションをYaSTが検出する場合、変更を求めるプロンプトが表示されます。

    3. YaSTで変更内容を確認し、/etc/corosync/corosync.confを更新します。

    4. クラスタに対してCsync2が設定されている場合は、次のコマンドを使用して、アップデートされたCorosync設定を他のクラスタノードにプッシュします。

      root # csync2 -xv

      Csync2の詳細については、3.5.4項 「すべてのノードへの設定の転送」を参照してください。

      または、/etc/corosync/corosync.confをすべてのクラスタノードに手動でコピーして、更新されたCorosync設定の同期を取ります。

  6. 各ノードにログインして、次のコマンドを使用してクラスタスタックを起動します。

    root #  systemctl start pacemaker.service
  7. crm statusまたはHawkを使用してクラスタの状態を確認します。

既存のGeoクラスタセットアップがあり、それをHigh Availability Extension 12およびGeo Clustering for SUSE Linux Enterprise High Availability Extension 12とともに実行するようにアップグレードする場合は、『Geo Clustering for SUSE Linux Enterprise High Availability Extensionクイックスタート』の追加情報を参照してください。http://www.suse.com/documentation/で入手できます。「SLE HA 11 SP3からSLE HA 12へのアップグレード」のセクションを参照してください。

注記
注記: アップグレード後の復帰

製品バージョン12へのアップグレードプロセス後に、製品バージョン11に戻す処理は、サポートされていません。

D.3 クラスタノード上のソフトウェアパッケージの更新

ノード上にパッケージ更新をインストールする前に、次の内容を確認してください。

  • その更新は、SUSE Linux Enterprise High Availability ExtensionまたはGeo Clustering for SUSE Linux Enterprise High Availability Extensionアドオンに属するパッケージに影響しますか。影響する場合は、ソフトウェアの更新を開始する前に、ノード上でクラスタスタックを停止します。

    root #  systemctl stop pacemaker.service
  • パッケージ更新には再起動が必要ですか。必要な場合は、ソフトウェアの更新を開始する前に、ノード上でクラスタスタックを停止します。

    root #  systemctl stop pacemaker.service

これらの状況のいずれにも該当しない場合は、クラスタスタックを停止する必要はありません。その場合は、ソフトウェアの更新を開始する前に、クラスタを保守モードにします。

root # crm configure property maintenance-mode=true

保守モードの詳細については、4.7項 「メンテナンスモード」を参照してください。

警告
警告: 更新中のアクティブなクラスタスタック

ソフトウェアの更新中にノード上のクラスタリソースマネージャがアクティブな場合、アクティブノードのフェンシングのような予期しない結果を招く場合があります。

更新が正常にインストールされたら、次のコマンドを使用して、クラスタの保守モードを解除してください。

root # crm configure property maintenance-mode=true

または、次のコマンドを使用して、各ノード上でクラスタスタックを再起動してください。

root #  systemctl start pacemaker.service

D.4 その他の情報

アップグレード先の製品の変更点と新機能の詳細については、それぞれのリリースノートを参照してください。リリースノートは、https://www.suse.com/releasenotes/で入手できます。

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